2008/3/25
小石原直子/ドールショウ事務局
■リカちゃん(タカラトミー) 言わずと知れた、女の子向け「着せかえ人形」の代表選手。 その登場は1967年 と古く、今までにほぼ4回のマイナーチェンジを経て現在に至っています。初代 (1967〜1972)/2代目(1972〜1981)といった古いタイプのリカちゃんには、 物によっては万単位のプレミアムがつくこともしばしば。現在のリカちゃんは4 代目(1987〜)。1000円を切る廉価版のものから、 高い知名度を活かして各種 企業とタイアップした限定物(最近はあっという間にプレミアムがついてしまう こと多し)まで、様々な スタイルで登場、みんなに愛されています。 本名は香山リカ、5月3日生まれの小学校5年生。 (みんなにお祝いしてもらえる ようにと、祝日がお誕生日に設定されました)家族はパパ(オーケストラの指揮 者)/ママ(現在は5代目。ファッションデザイナー)/ふたごの妹=ミキちゃ ん・マキちゃん(初登場時は赤ちゃんだったのが、1987年に幼稚園児に「成 長」)/みつごの赤ちゃ ん=かこちゃん・げんくん・みくちゃん/エレーヌお ばあちゃん/アルベールおじいちゃん(リカちゃんキャッスル限定で過去に発売 有)。お友達も初代の時代のいづみちゃん・わたるくんを筆頭に、これまでに30 名を越える人数が登場しています。尤も、大抵リアルタイムで店頭にいるお友達 は多くても総計10人前後で、2008年春現在では定番のお友達(いづみちゃん・か けるくん)の他には、07年にフランスで出会ったお友達「マリアちゃん」のみ。 リカちゃんファンの多くはリアルタイムで遊んでいる子供とそのママが大多数を 占める模様ですが、最近はフィギュア/人形ブームに乗ったマニア層も増えてい ます。 補 ドールショウの第一回も全くの偶然で5月3日です。 ■リカちゃんストラップ/キーホルダー(製造=タカラトミー) リカちゃんの超ミニバージョンで、頭についた金具でストラップ、また はキーチェーンに ついているもの。顔立ちはおおむね初代を元に作ら れており、頭部の髪の毛は一体加工 (初代/2代目リカちゃんの髪形を 始めとした数種類の髪形があります)ですが、 服はちゃんと布で出来て います。1998年春に発売された昔のリカちゃんが着ていた ドレスを ミニチュア化したシリーズが最初のもの。後に全国各地でお祭りの衣装 や女子高生の制服などを着た「ご当地リカちゃん」が登場しました。 地方のご当地ものの場合特に限定品の場合が多く、手に入りにくい のも人気の一因かも。 今までに出たリカちゃんストラップ/キーホルダーの画像は、タカラト ミーのホームページで見ることができます。 ■ジェニー(タカラトミー) ジェニー(タカラ) リカちゃんの「お姉さん格」と言える人形(ファッションドール)。 2000年春に新型ボディ(現在は生産休止)の「ナチュラルボディ」の発表とほぼ 同時に顔が小さめにマイナーチェンジされ、現在のジェニーの殆どは新しい顔で 発売されています。リカちゃんには小さい子供向けにごっこ遊びアイテムが多く 見られるのに対し、ジェニーはやや大きくなった女の子向けに「ファッション コーディネート」に 重きを置く商品構成になっているのが一番大きな違いです。 1982年にタカラがマテルから「バービー」の名称を借りて日本仕様に顔・スタイ ルを変えて売り出した人形がジェニーの当初の姿で、1986年の契約切れに伴う名 称変更により今の名前「ジェニー」となって現在に至っています。バービーの頃 から8月1日生まれの17才という年齢は変えられていませんが、マイナーチェンジ 後に「日米ハーフ、将来の夢はファッションデザイナー」という設定が加えられ ました。ジェニー自身の家族構成はパパ(映画プロデューサー)/ママ(デザイ ナー)ですが、 リカちゃんのようには人形化されてはいません。また、ジェ ニー自身はもちろん、覚えきれないほど(40人以上)もの友達ドールがこれまで に登場、それぞれが色々な髪形や肌の色で発売されています。そのバリエーショ ンの豊富さは発売開始後20年強とは思えないほどの膨大な量、友達ドールの中に もエリーやキサラ(大徳寺貴更)、マリーン、シオンなどのように熱狂的なファ ンが数多くついているコもいます。世界規格と言えるバービーに近い大きさも あって、ジェニーにはコアな着せかえ人形ファンが多くついてきました(ので、 ほんの数年前の人形にとんでもないプレミアム値がつく現象は、当初はジェニー 関係から広がりました)が、日本ウ゛ォーグ社の着せかえ人形の手作りドレスシ リーズ本の多くがジェニーの為に作られていることから子供の為のお裁縫経由で ジェニーに夢中になってしまうママ達も意外と多く見られます。また、07年秋に 一部のUHF局深夜枠/インターネット配信で放映が開始された人形アニメ(スー パードールラマ)「Kawaii!ジェニー」も、大人のファン層の新たな拡大に一役 買っている模様です。 ■バービー(マテル) 世界規模で現在も多くの子供に愛されてきたファッションドール。 1959年に「ティーンエイジ・ファッション・モデル」という歌い文句で登場 しましたが、現在のバービーはリカちゃんとジェニーの中間を行くような、 ややターゲット年齢が広めの商品構成になっています。 現在までにほぼ3回のマイナーチェンジがあり 、初代/2代目にはリカ ちゃんどころではないような、大変なプレミアム値がついてい ます(初代 ともなると、軽自動車くらいは買えるかもな場合も有)。 また、ここ10数年 くらいの間にはコレクター向けの限定商品(デザイナ ーや企業とのタイアップものも 多く見られます)も数多く作られています。 本名バービー・ミリセント・ロバーツ。 現在までに妹が計4人(スキッパー、 トゥッティ、ステーシー、ケリー)弟一人(トッド)が登場。 初代からずっと一 緒だったボーイフレンドのケンを筆頭に、 多くの友達が登場しています。 この「従来通りのバービーライン」とは別に、大きい顔を持つ昨今 の流行を取り入れた「マイシーン」シリーズが新しい友達ドールと共に登 場、2003年からは店鋪によっては日本国内でも買うことができるように なりました。 相思相愛だった、バービーとケンですが2004年二人の仲は破局 しました。 主にマーケティングの理由によるものですが、この決断には 人形をキャラクターではなく、製品という視点でしか見ていないと、世界中 から不満の声があがりました。 ■桃子(ペットワークス=2001〜2004/セキグチ=2005〜) 最も有名なインターナショナルメールソフトの一つ「ポストペット」の アートディレクターである真鍋奈見江氏がドールコラボレートユニット 「LW DOLLS」と共に監修・製作、2001年8月に(有)ペットワークス で発売を開始した「おしゃれなきせかえ人形」で、それまでの着せ替え 人形にはあまりない「きりりとした意志のある顔」が特徴。デビュー以来、 積極的に各界のアーティストやデザイナーズブランドとのコラボレーショ ンを発表しつつ、ドールコレクターだけではなく雑貨/量産アートとして それまで人形に関心がなかった層にもアピールしています。ペットワークス 時代は比較的小規模な数量(数百体規模)で生産されていたこともあり、 過去に発売された桃子を入手することはかなり困難で、種類にもよりますが、 大半のものにはプレミアム値がある程度ついてしまっています。 CF出演(日本コカコーラボトリング「フルーツラボ」2002年)の経験もあり ます。 発売元のペットワークスの事情により、2004年8月を最後に新商品発売 を一旦休止。翌05年3月からセキグチより「メジャーデビュー」が決定、 発売が開始されました。 ペットワークス時代よりはやや安価に入手できるようになりましたが、 それでも人気のある物には予約が集中してなかなか買えないという 事態も起きています。 ■ブライス(ケナー/タカラトミー/ハスブロー) 1972〜73年にケナー社から発売された人形が現在のブライスの母体。 巨大な頭部の後ろについているひもを引っ張ると目の色が4色に変わると いうギミックがあります(このギミックは現在のタイプにも引き継がれて います)。当時はあまり人気がなく1年程度で生産が終了したブライスを 後になって見初めたカメラマン/プロデューサーのジーナ・ガラン氏が 彼女を撮り溜めて制作した写真集を2000年に刊行。ほぼ同時期にPARCO のCFで取り上げられたことから人気に火がつき、2001年5月に渋谷PARCO での写真展開催に合わせて初めてのレプリカブライスが登場、以降も様々 なブライスが発売されてきました。 現在ではビンテージ品には数十万もの値がつくことも珍しくなく、最近の ものでも生産終了品などは高値で取り引きされる事が多くあります。 ボディはリカちゃんに近いサイズ(最初の時期のレプリカブライスは タカラトミーのリカちゃんボディをそのまま使用していました)ですが、頭の 大きさはグレープフルーツくらいあり、かなりしっかりしたスタンドを使わない と自立できません。 最近では植毛やメイク、グラスアイの交換等、自分好みにブライスを カスタムして楽しむファンも多く見受けられます。 ■プチブライス(タカラトミー) 2002年から登場したブライスのミニ版ドールで、当初は携帯できるキー チェーンとして発売された直立不動型のものでしたが、後に手足が可動に なって座る事もできるようになり、開いたままだった目も閉じられるよう になりました。「リカちゃんストラップ」同様、服は縫製されたもので 着替えも可能です。大半はレギュラー版ブライスのミニレプリカですが、 中には「ソーイングマイウェイ」などのように独自企画のものもあります。 ■コンパクト・ドール(タカラトミー) 全長14センチ、1/12=ミニチュアドールハウススケールの超ミニドール で、特にキャラ設定などはされていません。オレフェン系エラストマー (ジェニーに2000年から採用された関節の継ぎ目のない胴体「ナチュラル ボディ」と同素材)のボディで、髪は きちんと植毛され、縫製された服 を着ています。2000年春のおもちゃショーで試作品 が展示され、人形 ファンはもちろんミニチュア愛好家の間にまで波紋を呼びました。 実際の発売は2001年2月28日。ファッション雑誌「キューティ」との タイアップ品も含め12タイプの女の子が登場、 男の子タイプも発売され ました。現在では発売が休止されていますが、「東京ミュウミュウ」ドール など、ボディは企画モノとして時折使用されています。 ■キャラクタードール(各社) セーラームーン・キューティーハニー・カードキャプターさくら・ おじゃ 魔女どれみ・ふたりはプリキュア(いずれもバンダイ) レイアース(セガ)/ ウエディングピーチ(トミー)/ 赤ずきんチャチャ・ナースエンジェルりりか・ コメットさん・東京ミュウミュウ(タカラ) サクラ大戦シリーズ(ツクダ)他 テレビアニメなどのキャラクターを着せかえ人形サイズで作ったもので、 本編で着ていた衣装が着せられています。 設定に基づいたものや普段着などの着替え衣装が別売りされることも ありますが、その数はあまりない場合が多いです。 カードキャプターさくらとおじゃ魔女どれみはそれぞれ普通の着せ替え人 形より小さめのスケール、マニア向けとも言えるサクラ大戦の人形はやや 大きめのスケールで作 られていますが、多くの物はリカちゃん/ジェニーと 同じスケールになっています。 ただし、背丈は一緒でもボディは各社 まちまちですので、リカちゃんやジェニーの服 が着せられるとは限りま せん。 いずれも元のキャラクターに似せる為にかなり顔がデフォルメされ、 また、タカラ以外のメーカーの場合は普段から小さい服の縫製に慣れてい ない為か服や植毛が雑なも のが多く見られますが、キャラクターの人気に 売り上げが比例する為、意外に大売れしたりもするのであなどれません。 また、TVアニメの放映期間が終わると売れなくなるので、おもちゃ屋では 放映終了に合わせて在庫を投げ売りしてしまいますから、 物によっては 過去のキャラドールを入手するのにはかなり困難が伴います。なお、最近 ではフィギュアメーカーが、過去に人気のあっ た アニメキャラやゲーム キャラなどを人形にするケースも増えています。 ■ドルフィー/スーパードルフィー(ボークス) ガレージキットメーカーのボークスがドール市場に参入した新機軸の可動 素体がドルフィーです。(ドール+フィギュアの合成名)これまでドールに 興味を示さなかった層にもアピールし、新しい可能性を広げました。 スーパードルフィーは、ビスクドールにイメージが近いオリジナルドールで、 大きめのサイズをしています。 レジンキャスト素材の利点を生かした他用途性、玩具の「お人形」イメージを 払拭したスタイリングから一大ブームとなり、ボークス単独によるドールイベントも 開催されています。 メイクやウィッグを自分の好みに合わせて変えられる便利さと品のある姿、 手頃な価格帯で2000年ごろから愛好家が急増しました。 現在では顔・プロによるメイク等を好みに合わせて造って組み立ててもらう 「フルチョイスシステム」も確立され、フルチョイスのドール購入者には店舗の 一角で「お迎えセレモニー」をして受け取る、というイベントも用意されています (受付店舗は限られています)。 ■アゾンインターナショナル・オリジナルドール(アゾンインターナショナル) サアラ・由希・リセ・マヤ・REINA・Ai(以上;フェイスデザイン=思い当たる)・ ミナコ・REIMY(以上;フェイスデザイン=蒼騎ちはや)・カティ(フェイスデ ザイン=白虎かなめ)・すずな・NAHO(以上;フェイスデザイン=まるい)・他、 様々な作家とのコラボレーションを試みつつ作り上げられて来たドールです。 アゾンではドールファンの様々な需要に応じた多数のドレスブランドが作られ、 それぞれのブランドとドールとの組み合わせによる新作も数多く登場しています。 また、2005年末からは、ドール素体を作っている(株)オビツ製作所の「パーツ を換えることでポージングを変化させられる」新企画素体「ピュアニーモ」 を採用したシリーズ「えっくす・きゅーと」シリーズも展開されています。 ■タイニー・ベッツィー・マッコール(トナードール社(米)) 原型は50年代〜60年代初頭にかけて発売された人形で、婦人向け総合 雑誌「マッコールズ・マガジン」から生まれた8インチドール(当時は他に6インチ、 14インチサイズのベッツィーも存在)。1996年に14インチ版ベッツィーを 米国で発売したトナードール社が2000年から発売しているのが、今の 「タイニー・ベッツィー・マッコール」(日本での代理店はキューティーズ)。 子供らしい愛らしい風貌とキュートなドレスが魅力です。 基本的には昔の物のレプリカとして売り出されましたが、2005年からは やや顔の雰囲気の変わった「パーキー」シリーズが出る等、今後も色々と 動きが見られるのではないかと思われます。 ■プーリップ(ジュンプランニング) 2003年から発売されている、ブライスと同様にグラスアイを持つ大きな頭 の人形。但し、頭身のバランスはこちらの方がやや頭が小さめ。また、グラス アイにハイライト等のプリントが入っています(漆黒の瞳のものなど、眼自体が グラスアイにプリントされているものもあります)。この趣向はミニサイズの 「リトルプーリップ(2005年より発売)」でも受け継がれています。 イタリア人外交官を父、韓国人デザイナーを母に持つハーフイタリアンという 設定で、家族構成は両親と弟(いずれも人形にはなっていません)。 ブライスよりもよりティーンズファッションやコスプレに近い部分にアプローチ したものが多く見受けられ、中でも発売開始年に出た「NOIR(ノワール)」では ゴシックロリータを取り上げ、唇にチェーン付きピアスを入れるという かなり過激なコーディネートを展開。他のシリーズでも付属小物等にまで こだわっています。 ■杏〜Annz〜(アドワーク) 2005年4月から、京都に本社を持つホビーショップ「ロボクリス」を運営する 会社・アドワークによって作られた人形(ボディはセキグチのCoCoボディを使用)。 「モダンガアル」を主なコンセプトとし、現代風の着物(京都等の着物屋と のコラボレーションによるもの)を着たものがこれまで数回登場。「モダン キモノの人形」として認知されつつあります。2006年5月には1周年記念と して「洋装杏」も発売。毎回衣装に合わせて微妙にメイク・顔プリント・髪型が 変えられており、桃子並みにファン泣かせの人形になりそうです。 ■ちっちゃなもこちゃん(ママチャップトイ) 2005年4月、東京のホビーショップ「ママチャップトイ」から出た、23cmの 少女人形(ボディはオビツ製作所のものを使用)。いわゆる少女の「萌え」 がウリになっており、カフェメイドやセーラー服等の制服姿で登場、発売即完売 という状況が続いています。 ■ユノアクルス=1:ルシス・シスト(少女)/ヴィエル・エルヴィ(少年) 2:クリーム・モカライト:アズライト(少年)/フロゥライト(少女) 原型師・荒木元太郎氏による身長約45cmのオリジナルドールで、元々は球体関節 人形でしたが、発売回数を重ねるに従って関節の構造が変わってきています。 着せ替え人形とフィギュアの中間に位置する人形の一つで、ユーザーが自分で組 み立てる為、髪のみならず顔や手足のパーツを別売りパーツと替えられる、未塗 装版を入手すれば自分でメイクしたオリジナルの顔に出来ることから、既存の人 形で飽き足らないドールファンに人気があります。 ユノア2は2006年8月より発売。従来のユノアとは互換性のないもの(体型もグラ マラスな大人の女性になっています)ですが、顔・手足のパーツをオプション パーツと換えられる特徴はそのまま続けられています。 年に発売開始された「ユノアクルスライト」の身長は約27cmで、長い頭身の為 か他の1/6ドールよりやや小さめな印象があります。こちらもユーザーがキャス トから自ら組み立てるものでしたが、これをセキグチが商品化したものが2007年 秋に発売開始されました。完成品状態で販売されるセキグチ版ユノラとキャスト 版との最も大きな違いは「目」。キャスト版はグラスアイを瞳孔に入れていまし たが、セキグチでは描き目になっています。 ■WTG(フーズザットガール)(ボークス) 2003年春にボークスから発売が開始された1/6スケールのファッションドール。 「まみ」「カナ」の二人+後にボーイフレンド「ヤマト」「タケル」が発売 (2004年末〜)。「まみ」「カナ」は基本的には各6種類の違う髪型・髪色の中 から好きな子を選ぶ仕様で、二人の為に6種類のファッションブランドが用意さ れています。一方「ヤマト」「タケル」用のブランドは2種類。ボーイフレンド はグラスアイ・ウィッグを装着して色々な雰囲気を楽しむように出来ています が、時々イベントなどでアイプリント・植毛済仕様で服をコーディネートした限 定ドールを発売しています。 ■おでこちゃんとニッキ(ペットワークス) 2006年3月に発売開始。同名の絵本と同時進行で作られた「おにんぎょう」で、 おでこちゃんは少女、ニッキは猫。大きめの頭とスリープアイ仕様で作られてい ます(おでこちゃんの髪はウィッグなので、髪を取り替えればかんたんに雰囲気 を変えられるようになっています)。ドールの展開と絵本ストーリーは常時同時 進行になっており、テーマ(「しょうわ(3rd)」「みらい(4th)」など)に 沿った新作が発表されるのと連動して人形雑誌や総合ファッション雑誌などで新 しいドールでの「おはなし」が掲載されています。 ■インティグリティ・ドール(インティグリティ・トーイズ社(米国)) 「Fashion Royalty(ファッション・ロイヤリティ)」シリーズとして、 ヴェロニク、ヴァネッサ等を擁し、米国の気鋭のハイクオリティなファッション ドールとして以前から国内でも話題になっていたドール。新たに日本のファン の為に新しいドールコレクション「 FR Nippon」シリーズが2005年末に発表・ イベントにて販売を開始し、元々日本人の設定であった「キヨリ」に加え、 新人「ミサキ」がデビュー。ドールファンの間でも話題になっています。 ■海外製キャストドール(各社) 日本でのキャストドールブーム(スーパードルフィーなど)が飛び火するような 形で海外でもキャストドールが作られるようになりました。 各国の風土に合わせたドールが魅力ですが、中には日本製品を安易に コピーし、末端の差異を持ってオリジナルと称するものもあります。 現在ドールショウ内でも、どこまでがコピーで、どこまでが創作者の 当然の権利かで揺れています。 一時的にすべてシャットアウトという手段もありましたが、混乱も大きく、 現在では具体例が判明するまでは、一切、可不可の判断をしないという、 対応になっています。 フルコピーと認知されるものはドールショウでの取り扱いは、 禁止しています。 [「着せかえブーム」の流れ] [「着せかえブーム」の流れ] 1990年代前半にバンダイのセーラームーンドールのヒットを発端に各社のキャ ラドール戦争が繰り広げられていた結果、多量の1/6スケールの人形が市場に 流れていたという背景がありますが、直接の火付け役は1996年秋の「スーパーア クションジェニー」と言えるでしょう。往年の少年達のヒーロー「GIジョー」 「変身サイボーグ」のように、関節が曲がってポーズを付けられるというボディ 構造が数年来のフィギュアブームでアクションフィギュアに慣れた層のハートを つかみ、3000円弱という比較的手頃な価格も手伝ってあっという間に人形のファ ン層がオトナ方面で広がりました。 そしてより自分の求めるものに近いものを手に入れる為にボディ・顔のカスタ マイズや服の自作が流行、またトイショー等で自作品(主に服や小物)を売る ディーラーの増加に端を発し、ドールショウのような人形オンリーイベントが次 々と開催されるようになっていきました。各メーカー側でもユーザーを最初から 大人のファン層に設定したドール(ゲームキャラドールや各種限定品など)を発 売。ボークスやノアドローム、オビツ製作所では最初からカスタムを念頭に置い た素体を開発・発売するに至っています。 一方、いわゆる「着せかえ人形の世界」では、バービーとリカちゃん・ジェ ニーが拮抗している状態が長くつづいてきましたが、ここ数年の間に桃子/ブラ イス等、新手の人形が登場したこともあって微妙に変化を見せて来ています。 バービーにはいわゆるワールドワイドな着せかえ人形としてのおしゃれなイ メージが定着していますが(これは91年の再上陸以降年1回はどこかで大規模な 展覧会/フェアを実施してきた成果でもあります)、実際の人形の売上にはまだ あまり繋がっていないのが実情。尤も、数々の他社ブランドとのタイアップ、ま た数年前から展開されている子供服/婦人服の服飾ブランドとしての評価(店舗 では限定品などのバービーも展示しています)などから見て、意外なところで大 化けする可能性はまだあると言えるでしょう。 強力な商品ラインアップと手作りブームを軸にしたネットワーク、そしてそれ らに支えられた熱烈なファンを持つジェニーは、実ユーザー以外には知名度が充 分ではない一面があります。ただ、07年秋に放映開始された「Kawaii!ジェ ニー」がきっかけになり、最近では一度人形を卒業した年齢層・ニューカマーの ドールファンのジェニー方面への参入現象が見られつつあるようです。 そして国内最長寿着せかえ人形であるリカちゃんも、ファミリーやフレンドを 充実させるとともに、数々の限定アイテムの発売や年間ストーリーに基づいたブ ログの連載(07年の「リカ旅ブログ」終了後は別サイトで日常ブログを展開)な どで「懐かしい系」「子供のおもちゃ」に続く新しい地位を得ようと模索してい ます。 一方の新参ドールをとりまく状況はと言うと、着せ替え人形ファンと「アート /モード」系の双方に強いという特性を持つ桃子等の場合、その希少性・少量生 産体制・そして主に大人相手であるが故に高いクオリティを追求した結果の高い 単価が両刃の剣になっている一面があります。また、奇跡的に復活を遂げ、新た なブームを世界規模で作って来たブライスには巨大な頭を持つ風貌自体を、ユー ザー一人一人が受け入れられるかどうかという、かつて姿を消すに至った最大の 要因が常に立ちはだかっています。 可愛い系の新ドール達は「萌え」ブームの今後とも密接に繋がっていくことで しょう。また、スーパードルフィーやユノアは大きさとトータルでの単価の高 さ、各個人の技術力等が微妙なネックになっていると言えるかもしれません。 着せ替えドールの世界はニューカマーもあれば、役割を終えたものもあり、 まだまだ流動的といえるでしょう。 今後もしばらく目が放せそうにありません。 |